家と木部

家には目部がある

木は日本人の生活の中に、入り込んでいます。

家の塗装やリフォームにかかわっている職人さんが言っていた言葉で、印象に残っているものがあります。「木部のない家というのは、今のところみたことがない」。

普段は意識しないことですがそういう言葉を聞くと、自分が住んでいる家のどことどこに木材が使われているか?ということに興味がでてきます。そして自分の住んでいる家に関心を持つと同時に、木にも興味を持つようになってきます。

木は日本人の生活に入り込んでいる

その人は、経験の長い建築関連の職人さんです。長く家の塗装や補修に関わる仕事をしていて、木部のない家はみたことがないと言います。それくらい、木は日本人の生活の中に入り込んでいます。

日本は有数の森林国です。国土の面積に対する森林の占める割合は、67パーセントというデータがあります。

カナダは50パーセント台、米はパーセント台ですから、日本は森林国であるというのが改めて認めざるを得ないでしょう。

今の新築で木造中心の家というのは、ほとんど見かけなくなりました。それでも日本人はたいてい、木という素材に好感を持っています。

木の優れた性質はあげたらきりがないくらいにたくさんあります。例えば日本人は、木を見ると落ち着くことができたり、気持ちがなごんだりします。「触れると温かさを感じる」「ナチュラルで、飾らないところがいい。プラスチックなどよりもさりげなくてお洒落」などといいます。

木は人間に優しい

木は人間に優しい

表面に塗料を塗っていない、素のままの木を「無垢」といいます。無垢の木は温度や湿度を調節したりすることができます。

すっかり乾燥したように見える木材でも、まさに「生きている」のです。

一見滑らかに見える木の表面でも、実は繊維一つ一つの間に隙間があり、細胞が空気に触れた状態になっています。顕微鏡 のようなもので見ると、細かい穴がたくさん集まって出来ているのが木であるとわかります。

木に空いているこの細かい穴は、非常に優れた働き者です。湿度が高いと空気中の水分を吸い込みます。逆に空気が乾いてくると、穴から水分を外に出します。

種類によっては、人肌にたいして保温効果があります。本当に温かみを感じさせる種類のものもあるそうです。日差しの強い夏などは、断熱の働きをし、湿度の調整もするので、人間に涼しさを与えてくれます。

土もこのような性質を持っています。木と土は人間に優しいのです。自然の素材で出来ている家が人間によって心地よいということが、おわかりになるでしょう。