大工さんは文化の伝承者

腕のいい大工職人の仕事

今の時代「ガデン系」などと言われる大工さんは、仕事にはうるさくてもそれ以外は至って謙虚です。腕のいい大工職人は、文化の伝承に貢献していることがたくさんあります。

たとえば「いの一番」という言葉は、大工さんが家を建てる時に使う図面の番付の番号がもとになって生まれた言葉だそうです。

「板図」と呼ばれる大工仕事のための図面には、いろはにほへと、などと書いて示し、作業をわかりやすく、やりやすくします。

建物の奥の方から順番を決める、すなわち「いの一番」を決めるというわけです。

「几帳面」という言葉があります。これも、大工さんが削る木の角に関係するところから来ています。

このように、日本の伝統文化を継承していく上で、大工さんの果たす役割は大きいのです。家の建築に携わるので、生活文化との関連性はとても深いものです。

ただ、大工さん自身がそのような役割をになっていることを意識しておらず、文化にたいする関心が薄く自分自身が注目されることにこだわっていないのが、残念なところです。

大工さんとお金の話

建築家や設計士さんに払う設計料金は、施工管理を含めると15%くらいになるそうです。大工さん側からこれを見ると、ずいぶん高くついているという感想になるそうです。

建築家と設計士がもらう金額と、実際に工事をする大工さんがもらう金額が、それぞれに作業に見合ったものであることが望ましいですが、なかなかうまくいかないものだ、ということが、大工さんの書いた文献に載っていました。建築家や設計士にも言い分があるわけなので、大工さん側から見れば、ということなのでしょう。

大工さんによる家づくりは大量生産の工業品とは違ってひとつひとつ手間をかけてつくっていくものです。大工さんは仕事をした日数に応じて出る日当をもらうだけです。

坪お70万円分のお金をかければ、無垢の木と自然素材の家を建てることは可能だそうです。35坪の家なら2000万円をわずかに超えるぐらいです。それでも、これくらいの金額で抑えるためには、さまざまなところで余計なお金がかからないように気をつけなければなりません。

「理想の家を建てるためには、あきらめなければならないことだらけ」とある施主が言っていたそうです。家を建てるとなったら多かれ少なかれ、誰でも経験することでしょう。

たとえば照明器具は、デザインの凝った北欧製のものだと非常に高いですが、これをあきらめてかわりに一つ100円の小さな裸電球を使うというのはコストダウンでよく行われる手だそうです。シンプルで素朴な温かみがあり、高級照明に劣らないインテリアとなります。

材木でも、コストダウンが図れます。たとえば土台に最高級の耐久性を持つ栗を使っているところを檜にする、それ以外のところは松を使うことで、大幅なコストダウンが可能です。

大工さんの手間賃でのコストダウンも考えられます。1人工というのは大工1人が1日働く仕事に対する賃金です。実際のところ地域によってかなり違いがあります。内部の造作をよりシンプルに簡素化することで、コストダウンが可能だということです。

読み込み中.....

 

 

 

参考外部サイト:大工さんによる木部補修