無尽蔵の資源・木

林野庁は、国有林を民有林などで結んで全国に24箇所の「緑の回廊」を作り、森林の整備や動植物の監査を始めました。

東北に「白神八甲田の回廊」というのは、白神産地から十和田湖経由で八甲田までの、幅2キロ、長さ約50キロにもおよぶ回廊です。

この長い土地を整備して動植物の行き来を可能にすることにより、野生の生物の行動範囲は広がりました。たとえば月の輪グマは、里に降りていかなくても生活できるようになるのです。

また、生命力のある森は、人口林から天然林に自然と戻っていくそうです。100年後に豊かな自然の森林が育つことを願って、この活動は続けられています。

このことからもわかるように、木は地球上に、本来は無限にある自然として大事に保護されています。これを伐採して木材として使ってしまうのは、環境破壊にならないのでしょうか?

木を切ることを仕事にしている人が書いた文献にあったのですが、木を切った時には、かわりのものを植えるのが原則だそうです。植えられた木が木材として利用できる段階まで育てるのに、およそ60年以上かかります。それで、木で作った家は、60年は使えるものでなければなりません。60年の間に、新しく植えた木が木材として使えるように、上手に循環させるの です。

木は地球の資源""

木は家を建てるために伐っても、代わりのものを植えて育てる、そして使うことを繰り返す。そうすれば、世代を超えて使える無尽蔵の資源と言えるのです。

大工さんなどがよく知っていることなのですが、木が土に生えているときの様子を見ると、根元が湾曲していることがあります。

日本ではほとんどの場合、木は山の斜面に生えています。それで、根元が湾曲している木がとても多いのだそうです。

専門用語ではその部分をアテというのですが、このアテは、使い方次第ではとても丈夫で頼りになる素材だそうなのです。

昔はアテの部分も使っていたそうですが、最近ではまっすぐに生えている未来からの部分を利用するようになりました。

気の根元を元口といいます。元口から順番に一番玉、二番玉という呼び方で、柱などの材料になる木を採っていきます。

元口は筋が少なく穴などが多いので、二番玉がいいということになっているそうです。

木は育っていたときに癖がついており、これがなかなか抜けません。ノコギリやカンナ、ノミなどで切ることは比較的簡単なのですが、刃物で磨いでも、どうしても治せない癖というのがあります。自然素材の難しいところですが、心得て付き合っていくしかありません。

このような性質を持っている木を扱うには、経験とカンで、木の性質を読むことが必要になります。それで木で家を作るには、長年の大工職人としても経験が欠かせないということでした。